空耳此方-ソラミミコナタ-
「いえ。血の繋がりのせいか近しい家族には聞こえます。
後は…そうですね…本物の霊能力がある方なら…」

そう言いながら炯斗をチラッと見る。
言乃の視線に気付いた炯斗はギョッとして勢いよく首をふる。

「俺は違う!!」

「…そうですか。
とりあえず、私の声は他人には届かない訳ですから、あんまり大声で喋っていると変な目で見られますよ?……ほら」

言乃の指さす方を振り返る。
すると、教室の入り口に1人、女性がこちらを見ながら固まっていた。

「ことのん」

見知らぬ彼女を見つめボソッと炯斗が言った。

「はい?」

「それ言うの、ちょっと遅い」

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