空耳此方-ソラミミコナタ-
依頼
炯斗は立ち上がり、彼女に歩みよる。
と、完全に怪しい人に思われたのか彼女の肩がビクリとした。
そんな怖がんなくても…
内心トホホと傷つきつつ話し掛けた。
「どうかしました?ここもう終わってますけど」
「あ、あの屋代言乃さんて」
「ん?あの子だけど」
言い終わるかどうかのところで彼女は言乃に近づき、頭を下げて言った。
「突然で申し訳ありませんが、お願いします!協力して下さい!!」
「は、はい…?」
言乃は目で炯斗に助けを求める。
だが炯斗はいない。
「え?炯斗くん?」
「スルーされた…」
よく見ると、炯斗は床に手をつき項垂れていた。
「………」
うん、いいです。
言乃は炯斗から目をそらし、彼女の肩を叩き、携帯を見せた。
【とりあえず、お話を伺いましょう】