空耳此方-ソラミミコナタ-
「ことの始まりは、先日、祖父が突然家を飛び出してしまったことです。
幸い、どこにいるかはすぐにわかり、帰るよう言ったんですけど、聞いてくれなくて。
とにかく、その日から家で変なことが起こりだしたんです」
【変なこととは?】
「祖母の仏壇に供えた新しい花が傷ついていたり、お供え物のお茶が勝手に倒れたりです。
お茶についてはもうほぼ毎日で、こぼれたお茶は必ず同じように流れてしみになるんです!」
「いわゆる、ポルターガイストってやつか」
恵はうなずいて続ける。
「それは地図になっていて、実をいえばそのおかげで祖父の居場所がわかったんです」
【地図の場所に行ったんですか?】
「いいえ。
でも祖父母と友人の思い出の場所らしくて、同じ地図と連絡先を祖父の引き出しから見つけました」
なるほど、と言乃は手を組んだ。