空耳此方-ソラミミコナタ-
そんな炯斗を見て、怖い顔のそれはフンと大きく鼻をならした。

『なんです。そんな人を変なもののように』

炯斗はさらに後退り、近くにあるものにガッシリ掴まり、それに向かって喚く。

「だって!変なんっつーかお化けじゃん!!」

『お化けとは人聞きの悪い!』

「事実だろッ!?」

指差して叫ぶ炯斗を見て、言乃は頭を抱え呟いた。

「……炯斗くん、少し黙って下さい。…恵さんが怯えてます」

え?と横を見る。
炯斗が掴まっていたのは恵の肩で、そのまま耳元で叫ぶ彼に身を縮めて堪えていた。

現状を理解し炯斗はパッと離れた。

「うわわッ!!ごめん!」

「……大丈夫だと思います」

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