空耳此方-ソラミミコナタ-
騒ぐこと数分。
恵は畳に座りこんで頭を抑えていた。

「えっと…つまりは?」

炯斗が恵の正面に座り、この数分で言乃が聞き出した情報を通訳する。

「そこに幽霊がいる。んでそれはおそらくあんたのおばあちゃん。
おばあちゃんは伝えたいことがあるそうだ」

すると、幽霊はまた炯斗の頭を小突く。

『おばあちゃんおばあちゃん慣れ慣れしく言うんじゃない!』

「ってぇな!いちいち叩くなよ!」

炯斗は振り返って空に叫ぶ。

「……日奈山くんも視えるんですね」

【はい。残念ながら】

言乃はおばあちゃんの幽霊とケンカしている炯斗をいさめに入った。

「炯斗くん、おばあさま、そろそろ本題に入りましょう?」

「「……はい」」

なんとも言い難い言乃の迫力に、二人は大人しく従った。

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