空耳此方-ソラミミコナタ-
恵の祖母は名前をキミといい、炯斗には頑として「おばあちゃん」と呼ばせ無いとした。
『全く…見ず知らずの年上をおばあちゃんおばあちゃんと』
「そのことはいいから早くしようぜ」
炯斗は苦々しくキミに言った。
しばらく炯斗を睨んだ後に、目を言乃たちに向け、話し出した。
『あんたがたが来てくれて良かったよ。
……急いでじいさんの所に飛んでおくれ!早くしないととんでもないことになる!』
言乃はその旨を素早く恵に通訳した。
「……とんでも…ない、こと…?」
『あんたたちには取るに足らないことだろうけど、じいさんにとっちゃ一生の後悔になるだろうね』