空耳此方-ソラミミコナタ-

恵の祖母は名前をキミといい、炯斗には頑として「おばあちゃん」と呼ばせ無いとした。

『全く…見ず知らずの年上をおばあちゃんおばあちゃんと』

「そのことはいいから早くしようぜ」

炯斗は苦々しくキミに言った。

しばらく炯斗を睨んだ後に、目を言乃たちに向け、話し出した。

『あんたがたが来てくれて良かったよ。
……急いでじいさんの所に飛んでおくれ!早くしないととんでもないことになる!』

言乃はその旨を素早く恵に通訳した。

「……とんでも…ない、こと…?」

『あんたたちには取るに足らないことだろうけど、じいさんにとっちゃ一生の後悔になるだろうね』

< 93 / 374 >

この作品をシェア

pagetop