空耳此方-ソラミミコナタ-
『そうさね。
……果飲島(かいんとう)。私たちの思い出深い場所だよ。
いいかい?出来る限り、早く向かっておくれ?
じゃあ…これで私の役目も終わりさ。
ちゃんと見てるからね、頑張っとくれ』
「あ…ちょっ……と…」
しかし、キミは透けて消えてしまった。
彼女のいた場所に手を伸ばしたまま固まる言乃を、恵は心配そうに覗きこんだ。
「行っちゃいましたか……祖母は…?」
「ああ。でも見てるって言ってたからな。まだ上がりはしてねーさ」
炯斗が明るく恵の肩を持つ。
そのまま言乃を振り返り―
「んで?カリントウがどうしたって?」