空耳此方-ソラミミコナタ-
「そうそう、島に珍しいお客が来てるぜ」

「お客?」

男性は顔を上げて振り返る。
恵たちを見てパッと笑みが咲いた。

二言三言おじさんと交わすと、こちらに向かって大股で歩いてきた。

まだ若い30代くらいで、少し茶色気味の髪は首の辺りで切ってある。


「やあ君たち!若いのにこんなところまでよく来たね」

「ああ、まあちょっと用があってさ」

「用?こんなところに?」

明るく爽やかな顔がちょっと傾げる。

「ちょっととあるじ――!?」



普通に喋ろうとした炯斗の肩を恵が引っ張った。
びっくりしてバランスを崩した炯斗はヒソヒソ声で文句を言った。

「何すんだよ?」

「ここでいきなり目的を言ったら怪しまれるじゃないですか!」

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