何度忘れようとしても
その時、私の背後に居た誰かがスッと手をのばしてそれを取ってくれた。

振り向いて、その大事な物を彼から受け取った。
お礼を言おうとした瞬間、よく知っているその人は「いいから」と言って私にキスをした。

そこで目が覚めた。

現実にキスをされたように、心臓がドキドキとしていた。
あまりにも鮮明すぎたせいで、部屋に一人で居るというのに私はなんだか照れてしまった。

それなのにキスの相手が誰なのかは全く思い出せなかった。
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