何度忘れようとしても
「ねえ、この間と違う香水つけてるでしょ?」

説明が終わると私は翔太に聞いた。

「そうだけど・・・お前、ちゃんと俺の話聞いてた?」

私の書類をファイルにまとめながら翔太が半笑いをした。
そこで彼は、完全にプライベートの表情に戻っていた。

「だってなんか翔太の話ってまともに聞けないんだもん。いいよ分からなかったらその都度聞きますから」

私は笑いをこらえながら冷めた紅茶を飲んだ。




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