何度忘れようとしても
birthday
翌日、いつもよりも1時間早く家を出た。
今日から始まるイベントセールのために10時には店に行かなくてはいけない。

昨日その準備の手伝いが遅くまでかかったせいで寝不足の私はフラフラしながら会社へ急いだ。
海風がふきすさぶ中、立体歩道を黙々と歩く。

ここのところ朝はいつも最悪な気分だった。
何か楽しい事も、会いたい人も、何もない状態、みんな奪われていったような気さえしていた。

オフィスビルに入り、エレベーター前までたどりつくと、そこに見慣れた男の子が立っていた。



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