何度忘れようとしても

せっかくなので、ありがたく若手に入れてもらう事にした。

それから自販機でお茶を買って、デスクで２時間くらい仕事をしてから会社を出た。

オフィスビルから外に出ると一面に綺麗なイルミネーションと夜景が広がっていた。
立体歩道を楽しそうに歩くカップルとすれ違いながら、私は一人歩いた。

去年、遊園地に行った後に孝昭と手をつないで歩いた夜のショッピングストリートのイルミネーションが蘇る。

私はいつまでこうやって一人で我慢すればいいんだろう。

歩きながらコートのポケットの中の手を、キュッと握りしめると目の奥が痛く熱くなった。
涙がこぼれるのを耐えながら、私は冷たい部屋へ一人急いで帰った。