何度忘れようとしても
佐伯くんはシャワーを浴びると、すっかり落ち着いたようでソファに座ってメイク雑誌を開いてくつろぎだした。

「ねえ、普通にパンとか食べれそう?」

と、私が声をかけると

「あ、食べれます」

と言うので、冷凍していたベーグルを佐伯くんの分もレンジに入れた。

「コーヒー飲む?」

と、聞いて振り向くと佐伯くんは今度は窓際で外の景色を眺めていた。
そして

「井川さん、もしかしてあれって市民体育館ですか!?」

と、ウチの目の前の建物を指差して驚いていた。
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