何度忘れようとしても
「まったくダメですよ。なんていうか俺、営業向いてないような気がするんですよね、最近」

「そうなの?私は、いいと思うけどなあ。引き継ぎの時も佐伯くん感じ良かったわよ。すごく」

引き継ぎの時、佐伯くんの話す感じがとてもソフトで私としては好印象だった。
佐伯くんは「いや・・・」と少し考えてから言った。

「向いてないっていうか、ホントはやりたくないっていうか。もっと違う事が最近やりたくて」

「違う事?」

私は手を止めて、佐伯くんを見た。
佐伯くんも手を止めていた。そして床を見つめながら言った。
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