何度忘れようとしても
「ねえ、佐伯くん頼んでもいい?」

「なんですか?」

私は棚の上の段ボールを指差して言った。
背の高い彼ならきっと届くと思った。

「あれを、取ってもらえるかなぁ」

「あぁ・・・コレ?」

そして、私の後ろから長い腕をのばして佐伯くんは簡単に段ボールを取った。
それを受け取った瞬間、思わず声が出そうになるほど驚いた。

あの夢。

この瞬間を、夢でいつか見たことがあった。
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