何度忘れようとしても
フロアに戻った私を見て、和泉さんが心配そうな顔をした。

「井川ちゃん、大丈夫？具合悪いの？」

私の目が赤い本当の原因を、おそらく分かっていて和泉さんなりに変換してかけてくれた言葉なんだろう。こんな事になるなら、早く和泉さんに相談でもしておけば良かったと私は思った。

「大丈夫です」

佐伯くんは、出かけてしまったのかもう居ない。

「和泉さん、私もう出かけますね。注文もらってこないと・・・」

せめてもの前向きな言葉だけ残して、私はすぐにお店に出かける事にした。
今にも泣き出しそうで怖かった。

「うん、気をつけて。もうちょっとだから・・・頑張ろうね」

和泉さんの優しい言葉が余計悲しくて彼女の顔も見れずに顔を伏せ私は会社を出た。




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