何度忘れようとしても
「別れたんですよ」

意外な答えが返ってきて驚いた。

「実は、彼女とは結婚が決まってたというか・・・親が決めたことなんですけど。本人同士も、って俺らの事ですけど、結構、諦めて付き合ってたんですよ。タイプが似てたのかな?
でも、やっぱりなんか違うじゃないですか、自分の人生が決まっちゃってるなんて。俺、3年後には彼女の家を継がなくちゃいけなかったんで」

「3年後!?」

「そう。考え直すなら今だな、と思って。話し合ったんですよ、相手の親とも。すげーもめたんですけど、結局は本人同士の気持ちが大事だからって、許してもらえて。それで、俺はフランスに行きたいって、会社に希望出しました」



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