何度忘れようとしても
そして、気づいたら私は迷子になってしまっているようだった。
途方に暮れていたその時に、どこかから聞き覚えのある声が聞こえてくる気がした。

その声は確かに私を呼んでいて、どうやら大通りの向こう側から聞こえてくるみたいだった。
横断歩道も何もない、その向こう側を目を凝らし、よく見るのだけど行き交う色とりどりのバスや車が邪魔をして見えない。もどかしい。

そして車の往来が無くなった時、やっと、向こう側に立っている佐伯くんの姿が見えた。
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