何度忘れようとしても
朝食をゆっくり食べて、コーヒーを飲みながら丁寧にメイクをする。
引っ越して以前より狭くなったけれど、日当りが良くて私の好きな物が見渡せる場所に凝縮されているこの部屋の景色はいつも私を幸せな気持ちにした。

食器を洗い、着替えるとまだ時間には余裕があった。
それでももう、出掛ける事にして私は部屋を出た。

外の空気は、冬の気配を残しながらも、温かい春がすぐそこに来ている柔らかい感じをちゃんと含んでいた。

ちょうど坂を下りきった所にある駅の改札を抜け、ホームに着くと次の電車まであと5分時間があった。
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