何度忘れようとしても
席に戻って何から食べようか、ドーナツの箱を覗き込んだ。

カカオにしようかな?
米粉のも美味しそうだな・・・
あぁ、迷うなあなんて思っていたその時

「やべー超、美味そう。」

背後から突然声がした。

振り向くと営業2部の佐伯くんが、私のイスの背もたれを掴んでドーナツを覗き込んでいる。

「びっくりしたなあ、もう。いいよ、佐伯くんも好きなの選びなよ。」

私は佐伯くんの方に箱を向けた。

「カカオと米粉のは、やめてね」

「マジっすか?超うれしい」



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