何度忘れようとしても
ウェイトレスがスパークリングワインと人数分のグラスを運んできたところで、私は我に返った。

いけない、いけない
合コンなのに翔太との思い出なんかに浸っている場合じゃない。

みんなに合わせて私もグラスを持ち上げる。

「じゃ、乾杯」

「かんぱーい」

誰からともなくの合図で、8人のグラスがカチンと音を立てぶつかりあった。

喉元にシュワッと広がる炭酸の感覚。

あぁ、今日は思い切り飲んじゃおう。
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