どうしても。
返答に困っていると


「小関さんですよね、看護師さんの…。」


ドキドキ、ドキドキ 私の心臓がうるさい。


「あっ、は……い……」 

そう、返事するのが精一杯。


私が返事すると、彼は少し安堵したような表情をみせた。


「私の事、ご存知なんですか?」


「えぇ、検査室にいつもいらっしゃって採血してますよね。」


彼の笑顔がうれしい。いつもは奥さんに向けられているその笑顔は、今、私に向けられている。奥さんではなく……。私だけに。




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