どうしても。
ーと、私はなるべく明るく答えた。


「あっすいません。小関さんがすごく真剣に読んでるので、うらやましいなぁって思って…」


えっ? うらやましい?なんで? 
そんなハテナマークが私の頭上に浮かんでいるのが見えたのかもしれないけど。


「あっ、ウチの奥さん、日本語も日本の料理もダメで、しばらく肉じゃがなんて食べてないなぁって。」



そう 言いながら少しはにかみながらしゃべる彼に、私の胸がひどく痛んだ。




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