本と私と魔法使い
「これが契約の証。咲ちゃんは未契約だから黒なんだよ。わたしが、ううん、和泉くんも図書委員の皆もだけど、もし命を落としたらね、みんなの記憶から抜け落ちるの」

「え?」

しゅるってね、と笑って言う。


「なんで…」


「混乱を防ぐためかなぁ…。そうそう、化ケ物になった人の事をを覚えてる人もいないんだよ」

そんな事を、どうして、笑って言うの?


「…だからね、健一くんの気持ちには答えられない」

真っ直ぐに前だけを見つめる千亜に何も言えなかった。
< 113 / 251 >

この作品をシェア

pagetop