本と私と魔法使い
「なんで、そんな簡単に言うの?」

唇が震えた。

「はぁ?重く言ったところで事実なんだから、意味ねぇだろ?」

和泉は近くにあった雑誌をぴらぴらめくる。

「意味ないとかじゃないでしょ…?おかしいよ、忘れられるっていうのは、存在がなくなるってことで、誰の心にも生きてられないってことなんだよ?…恐くないの?…寂しくないの?」


私は嫌だ。忘れられるなんて、忘れるなんて、絶対嫌だ。

「恐くないし、寂しくない。…俺がいなくなっても、支障なんてどこにも起きないし、誰もなんともおもわねぇよ…父さんとも血の繋がりなんてないし、」


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