本と私と魔法使い
大切な人と一緒に居たいと思う気持ち、
そんなシンプルな想いが絡み合って、何百年と悲劇を生んだんだ。

サリサのその想いは、きっと誰よりも純粋であったはずなのに。

「じゃあ、あたしは全て諦めれば良かったの?……正しい選択なんてどれだかわからないじゃない…!!」
「違う、そんなこと言ってない!!…あなた達は正しさに囚われて進まなかった、動くことをしなかった、そのせいでこんな風になっちゃうの!!」


正しい、なんて誰にもわからない。わかるのは、その時のベストだと言えるものを選び取る事くらい、それでさえ、違う選択を考えずには居られない。
これでいいのか、あっちの方が良かったのではないか、と。
雲の上をわたるような感覚で、間違いではないかと疑いながら大切なもののために進むしかない。

途方もない道程で眩暈がしそうでも。


「悩んで、悩んで、足踏みして進まない…苦しい、当たり前でしょう?…もっと苦しいのは間違いかもしれない危うい道を進むことだよ!!」

「あたしは、間違って進んでも良かった?」

サリサは座り込み、うな垂れる。
「私を元の世界に戻して、…あの図書館に一生手出ししないで」
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