本と私と魔法使い
そんな話も束の間、相手が到着した。


「佐恵子さん、遅くなってすみません。」


お母さんの名前を呼ぶ、低い声の持ち主は、面長の顔に細めの深い黒の瞳を更に細くして、優しく笑った。


お母さんもまた綻ぶように優しく笑った。
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