本と私と魔法使い
そんな会話をしていると、辺りがざわついているのに気づいた。

「やだ、どうして王子がいるの?」

「カッコいいよねぇ…、まさしく王子って感じ」

というような女子の黄色い歓声。
目の前の千亜と谷村は固まって、私の上を見ていた。

「ん?どうしたの?」

「ねぇ、咲を借りても良いかな?…秦野さん、谷村さん」


頭上に優しい声が降ってくる。
声の持ち主の問いにぶんぶん2人は首を振って言った。


「どうぞ、持ってて下さい」

誰?
私はゆっくり声の持ち主の方を振り向いた。

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