本と私と魔法使い
―屋上



「で、何の用よ?」

「別に。クギを刺しにきただけ、…まぁ、案の定性格わりぃとか言ってくれちゃってるわけだけど」

「…事実じゃない!!」



素になると途端に、口の悪くなる男だな…。



「お前以外には、ちゃんと優しい王子様なもんでね、…お前ひとりの言うこと真に受けるヤツなんていねぇと思うけど」



まとまっていた髪が風にあおられて、無造作に揺れる。
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