本と私と魔法使い
ー…

「…っ、どこなのよ…!」

女は本棚から手当り次第に本をバラバラと出した。
プルルッー…
ポケットに突っ込んでいたケータイが鳴る。
女はその音にびくっと身体を震わせた。

「やっほー、"アレ"見つけてくれた?」

出た男は軽い口調だが、温度の無い冷たい声。

「…まだよ、…場所の見当さえついてないのに、見つかるわけないじゃない‼」
「えー…、使えないなぁ。…君さぁ、分かってる?僕が使えないなって判断したら、どうなるか」
「待って‼お願いよ…、あたしは会わなければならない人がいるの」
「ま、いーよ。見つけてくれさえしてくれれば、ね?僕は僕の目的がある。忘れないでね。そだ、図書館には厄介なコたちがいるから気をつけてね」

電話は一方的にきれた。
あたしには、もう、これしか手立てが無いのに。

一筋、汗が流れた。

ー…
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