本と私と魔法使い
あぁ、愚かな罪深い人間がいるわ。

「あった、…あったわ…‼」

女はその赤茶色の装丁の本を抱いて言った。
それが罠だとも知らずに、

「ぇ、きゃあぁぁぁあっ‼」

びらびらびらっと音をたて本のページがめくられた。

にゅっと私の白い腕を本から出して女の身体に入り込んだ。


「あぁ、やはりこの身体では長い間はもたない。…ふふ、ごめんなさい、持ち主さん。私にも果たしたい願いがあるの」

ピシッと音を立て、女の白い肌がひび割れた。
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