Never-ending story
黒いスーツとベスト、白シャツ、色白、長い髪の人は相変わらず、淡々と説明をしていく。
けれど、淡々と説明をすればする程、時代の不条理さも不合理さも孤独も暗さも総て押し込めていくようで窮屈さを感じる。
無言でスコーンにジャムを塗り、齧りお茶を飲み、サンドウィッチやフルーツを詰め込んでいく。
お茶を飲み干して一息をついた頃には、随分と寒さも和らいで来た。
「資金源は一体どうするつもりですか??
知識や技術だけではどうにもならないでしょう。」
「物を作る時一番掛かる費用は人件費ですから、人件費が浮けば多少の融通が利くでしょう。」
「つまり、資本主義でもなく、社会主義でもないシステムにより、国を運営していく形、乱暴な言い方をすれば、お金という存在が社会的価値が低くなるということですね??」
「人が一生働かないで生きていこうと思えば2億円が必要ですから、2億円を準備金として用意して身分を与えたら十分材料費の寄付金は出るでしょう。」
黒いスーツとベスト、白シャツ、色白、長い髪の人が皮肉染みた笑いを浮かべながら言い、なおも言葉を続けた。
「現代は身分や階級という存在が表面的に消えてしまい、全員が働いて税金を納めなくてはならないようになった。
 その結果、幻想にすがりついて、原発という負の遺産を人類は持ってしまったのだから」
確かに、身分制度や階級制度という存在があれば、働いて税金を納める人と働かないで良い人がいた。
科学や文明が発展すればする程、頭脳労働の需要は上がり、肉体労働の需要は下がっていく。
 つまり、資本主義経済や社会主義経済を繰り返しているうちは不安定な経済の波は不定期に訪れて人々を蝕んでゆく。
結局、人類は経済問題と文明や科学の発展を天秤に掛けて折り合いをつけていかなければならない。
上手く折り合いを付けることが出来なかった場合は、人類の負の遺産として還元されるし、経済問題の為に文明や科学の発展に犠牲を強いれば、経済という海の中で嵐に遭遇して氷河期が訪れるようになっている。
 更なる不条理は、50年前から数学的な法則で危険視されて共感を得るまでの月日が長く、30年前には40%が共感して危険視をして警報を鳴らして残りの60%に情報抑圧と迫害を受け、10年前に大半が危険視をする時、人類の負の遺産が出来上がっているのである。


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