ノンシュガー・ノンビター【VD中編】
きょとんとした平坂をまじまじと見つめ密かに考察する。
……身長は俺よりだいぶ低い、が、可愛いと評判のこいつは毎年バレンタインは大量収穫だ。
確かに中性的な顔立ちだ、それはわかる。
話し方も俺と違ってふわりと柔らかいし、誰にだって優しい。
だがこいつの無自覚さは一体なんなんだ…!
モテるだろ、お前ッ…!!
しかも厭味で言ってないところがまた腹立つなぁおい…!
当日に限らずクラスの男子もさぞ平坂を恨んでいるはずだ、きっと。
そんなことを考えていたら一瞬白波のことが頭を過ぎり、もし平坂に持っていかれたらと考えると恐ろしくなる。
伝えたところで報われるかどうかはまた別の話というのは、今だけ知らない振りをした。
…絶対に、明日、告白しなくては。
平坂だけじゃない。
白波はいつ誰に奪われるかわからないんだ、早く、想いを伝えなければ。
勝手に焦燥感を抱き、少し沈んだ気持ちになった。