ノンシュガー・ノンビター【VD中編】
夢見る戦場
2月13日。
学校帰りの足で駅前にある有名なチョコレート店に向かった。
店内に溢れかえる色とりどりのチョコレートに目移りしつつも、あいつが好きだと言っていた
苺味のものを手に取る。
…大丈夫、リサーチ済みだ。
あいつは雑誌を見ながらこれが食べたいって言ってた。
俺にも楽しそうに写真を見せてきたから見間違うことはない。
脳裏に焼き付けたあの写真と現物を照合しながら最終確認を済ませる。
よし、これだ、間違いない。
目当てのものを難なく見付けられほっと一息吐いたのも束の間。
キャアキャアとうるさい女子高生の群れが店に入ってきたことで、俺は自分の置かれた立場を思い出した。