ノンシュガー・ノンビター【VD中編】
勝者の敗北
「あー咲々乃、おかえりー」
朝のHRが始まるギリギリの時間に俺と夏村は教室に戻った。
…あーくそ、いつかはこうなる気もしてたけど…。
照れ隠しのつもりはないが、いつもより大袈裟にがしがしと頭を掻く。
「…おう、ただいま」
なんとなく平坂の顔が見れなくて、わざと雑な返事をした。
相変わらずの平坂はそんな些細な変化に気付くはずもなく、へらりと笑うだけ。
そのとき気付いた。
…こいつ、もう紙袋にチョコが入ってやがる…!!
しかも1個や2個じゃない…!
なんだこいつ、去年よりモテてないか…!?
「ああ、これ?さっきもらったんだ。クラスの皆に配ってるんだろうね、優しいなぁ」
おまっ…正気か!!!