ノンシュガー・ノンビター【VD中編】
だ、誰かに見られたらまずい…!!
俺がこんなところでチョコレートを買っているなんてクラスの連中に知られたら、根掘り葉掘り訊かれるに決まってる…!
問い詰められている自分を想像して、ぶるりと身震いをした。
……まずいな、それだけは阻止しなければ。
そんな想いから半ば駆け足になり、慌ただしく会計の列に並ぶ。
…今のところ店内に知り合いはいない、はず。
思いの外レジは空いていて、俺が周りをきょろきょろ窺っている間に順番が回ってきた。
値段まで覚えてしまっていたのでぴったりの金を払い、レシートを受け取る。
「ありがとうございましたー」
なんとなく気まずくなり、レジのお姉さんにぺこりと一礼して商品を受け取った。
…頑張ってね、と生温かい同情を向けられているような気がして。
柔和な笑みさえ少し意地悪なものに見えた。