ノンシュガー・ノンビター【VD中編】
がしがしと頭を掻き、なんとも言えないもどかしさを噛み締めた。
言葉にしなきゃ伝わらない。
そんな格言めいたものが突然、脳裏を掠めた。
…そうだ……言えば、良いんだ。
全部、想いを、ぶちまければ。
そうすれば、きっと、
「咲々乃くん?」
澄みきったビー玉のようにまあるい瞳に見つめられ、ぼぼっと顔が熱くなった。
さっきの比じゃない。
もう、火がついたんじゃないのかってくらいに、熱い。
顔はきっと、誰が見てもわかるくらいに真っ赤だ。
「っ、あ、あのさ、白波…!」
「うん?」
白波は急かさない。
不思議そうにしながらも、ゆっくりと、俺が話し始めるのを待っていてくれる。
…こういう気配りができるところも好きだ。
誰にでも優しくて、明るくて、たまにおっちょこちょいで。
……だから余計に目が離せなくて。