ノンシュガー・ノンビター【VD中編】
去年クラス替えをして、白波に一目惚れした。
なるべく積極的に関わっていくうちに、内面にも惹かれていった。
だから義理でもバレンタインのチョコが貰えるような仲になれたことがすごく嬉しい。
…でも、これだけじゃ満足できない。
俺が欲しいのは……いや、贈りたいのは、義理じゃない。
今まで押さえつけていたものが弾ける音がして、咽喉がひゅうっと鳴った。
手が、足が、頼りなく震える。
けどそんなこと、どうだって良かった。
「こ、これ…!」
右手に握り締めたものを渡そうと、差し出しかけたときだった。
「あっ、それ、夏村さんからのでしょ!」
……………は?
「…………は?」