ノンシュガー・ノンビター【VD中編】
気付いたときには、思っていたことがそのまま口から飛び出していた。
しかもちょっとガラが悪い感じで。
白波に向ける言葉ではなかったと、思わず口を噤んだがもう遅い。
しかし肝心の白波は気にした様子もなかった。
ただどこか自信に満ちあふれた、きらきらと輝く目をしている。
……俺の耳がおかしくなったのか?
もう一度だけ、反唱する。
夏村から、の?
なつむら?
え、夏村って、あの夏村?
は?
えええ?
どういう意味だ?
驚愕のあまり声が出せないで固まっていると、白波が恥ずかしそうに笑った。
「朝ね、まだ咲々乃くんが来てないときに、偶然見ちゃったの」
「……えーっと…なにを…?」
嫌な予感がする。
…それも、外れている気がしない、予感だ。
俺の青褪めた表情には全く気付かないまま、白波はさらりと核ミサイルを投下した。