ノンシュガー・ノンビター【VD中編】
平坂にはまだ昼のことを話していなかったから、ずっと心配そうにこっちを見ているのがわかった。
まぁ…俺の様子を見てたらこいつのことだし6割くらいはわかってんだろーな…。
……後でちゃんと説明するって。
そんな想いを込めて平坂に軽く手を振り、あいつの席に向かって歩き出す。
あいつは生意気にも女友達と菓子を食っていた。
八つ当たりでしかない苛立ちが俺の胸の内をぐるぐると這いずり回って、胸焼けを起こしそうだった。
「夏村ぁああああ!!!」
バシッ!!
「いったぁああ!!」
友達と談笑していた夏村の後頭部を出来るだけ手加減して引っ叩いた。
それなりに痛そうな音がした。
……これは暴力じゃない、断じて違うぞ。
それに相手は夏村だから問題ない。
…自分にそう言い聞かせながら。