ノンシュガー・ノンビター【VD中編】


「ちょ、ほんとに痛いじゃない、なによ突然!」


涙目でこちらを睨み付ける夏村には構わず、腕を強く掴んで無理やり教室から引っ張り出した。

…さっきは掴めなかった、のに。

初めて知る黒い感情がとぐろを巻くような感覚に、言い様のない吐き気を覚えた。


「あんた5限目は死んだような顔で寝てたじゃない!いきなりなんなのよ!!」


抗議の声には無視を決め込み、朝、夏村と俺が話した場所に着くまで歩調は緩めなかった。

人気がないことをざっと確認し、そのまま壁に夏村を押し付ける。

痛みに歪んだ顔に罪悪感が一瞬ちらついたが、それを気にする余裕はなかった。

どうしても、白波が言った言葉の意味が知りたかった。


「どういうことだよ!」

「な、なにが!て、てかあんた、かかかか顔近っ…!」

「いいから答えろ!チョコ買ったのか!“bunny funny”の!!」
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