ノンシュガー・ノンビター【VD中編】
そのままぽんぽんと何度か軽く頭を撫で、言い聞かせるように言葉の続きを口にする。
「だから今朝も言ったろ?あいつ、貰ったチョコは全部義理だと思ってんだよ」
「……そんなの……あたしのチョコだって、同じじゃないっ…」
普段強気なくせに、こういうときだけ女の子の顔を見せる夏村にこっちが戸惑う。
涙目で、弱々しくて、頼りなくて。
…はー…こんな恥ずかしいこと、言いたくなかったけど。
さっき乱暴なことした罪滅ぼしだから、な。
ごほんとひとつわざとらしい咳払いをして、おもむろにたどたどしい言葉を紡いだ。
「…ストレートに言え、好きだって。あいつだってそこまで言えばさすがに気付く。友達の意味で、なんてボケはかましてこない。あいつ、意外と鋭いからな。…だから、逃げないで頑張れ、夏村」
なるべく優しい声音で言うと、夏村がゆっくり顔を上げた。
やっぱり俺がこんなことを言うとは思っていなかったようで、ぽかんと口を開けて固まっている。
…あんま見んな、バカ。