ノンシュガー・ノンビター【VD中編】
「咲々乃!ここにいたんだー捜したのに」
いつの間にか平坂はすぐ側まで来ていた。
わかりやすく夏村の肩に力が籠る。
…んな肩肘張るなって、俺が言えた義理じゃないけどな。
「おー平坂、わざわざ悪かったな」
「ああ、それはいいんだけどさ、白波さん帰っちゃったよ?」
「………は!?」
「まだ間に合うとは思うけど…」
「ばっ、それ早く言えよお前ー!!」
「え、白波さんが好きだったのあんた!?」
「うっ…め、面倒だから今その話持ち出すな!」
「ちょ、まっ」
「あー平坂!悪いんだけどさ、夏村と一緒に教室で待っててくれねぇ?」
「うん、おれは良いけど…夏村さん、時間大丈夫?」
「だ、だい、大丈夫!!」
夏村が噛みながら返事をしたのを確認して、俺は走り出した。
「じゃー咲々乃、頑張ってねー!」
「…っ、あんたこそ逃げないで頑張りなさいよっ!!」
平坂と夏村の声援を、背中に受けながら。