ノンシュガー・ノンビター【VD中編】
目を丸くした白波が振り返り、びっくりした様子で自分の掴まれた腕と俺を交互に見つめる。
「え、咲々乃くん?どうかした?」
「…ちょっと今、いいか?」
「大丈夫、だけど……わっ、」
まだ事態を飲み込めていない白波には悪いと思ったが、腕を掴んだまま裏庭へまっすぐ向かう。
途中何度か不安そうに名前を呼ばれた気がしたが、すっかり高揚しきっている俺にははっきりと聞き取れなかった。
上靴のまま草を踏みつけ、適当なところで足を止めた。
自覚はないがあんまり俺が早足だったのか、白波は少し苦しそうに呼吸していた。
名残惜しく思いながら腕から手を離す。
「…いきなりごめんな」
「ううん、いいんだけど……なにかあったの?」
…あくまでも告白だとは思っていないらしい。