ノンシュガー・ノンビター【VD中編】


どうすればいいのかわからなくて、でも心臓はますます速く脈を打って。

呼吸困難になりそうなほど重たい沈黙を壊したのは、


「…うれしい、」


白波がぽつりと呟いた、一言だった。


………え…うれしい?

俺からのチョコ、喜んでもらえてる…?


「…あの…わたしが咲々乃くんにあげたチョコ、今持ってるかな…」


へ?

突然のことに驚くが、鞄は足元に転がっている。

がさがさと漁るまでもなく、すぐに白波にもらったチョコが出てきた。

するとそれを見た白波は俺に向けてまっすぐ手を伸ばした。

申し訳なさそうに眉を下げながら。



「ごめんなさい、返してくれる?」



……えええええええええっ!!!!!!
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