ノンシュガー・ノンビター【VD中編】
や、やばい、なんて言い訳すれば良いんだ…!
とりあえず平坂に見えないよう、肩に掛けていた鞄を下ろし後ろ手にチョコレートを押し込んだ。
「なにしてんのー?咲々乃って家こっちだっけ?」
「…や、今日はちょっと用事があって。ひ、平坂こそなにしてんだ?」
危なかった…チョコの存在には気付かれてなさそう、だ。
「おれは帰り道だよー。てかさっきなに隠したの?この店の袋でしょ?」
!!!!!!
思わず肩から鞄がずり落ちた。
目を見開いて平坂を見つめると、俺が驚いていることを不思議そうな顔で見ている。
…どうやら、俺の必死の隠蔽工作は最初から無駄だったようだ。
こいつ、チョコ買ったところから見てやがったな…。