ノンシュガー・ノンビター【VD中編】
…どこからそんなガセが出てきたんだ…単に俺が本命貰ってないからそう見えるだけだろ…ってなんだこの切なすぎる現状…!
い、いや、白波以外に貰っても確かに困るけど…!!
でもせっかく俺のために用意してくれたものなら、要らないなんて突っぱねたりしない。
「…やー…その…今さらだけど、夏村とのことは全部誤解で…」
「わ、わかってるよ、もう大丈夫!……えっと、だから、…ちゃんと咲々乃くんに受け取って欲しくて…」
…貰ってください。
再び差し出されたチョコを、俺はそっと受け取った。
さっきまで俺の鞄に入っていたのに、全く別のものを貰ったような、そんな気持ちだった。
…想いが籠っているかどうかってだけで、こんなにも違うのか。
嬉しくて嬉しくて今にもガッツポーズをしたい衝動に駆られながら、少しかがんで白波と目線の高さを合わせる。
それだけでなんだか距離が埋まった気がして、どきんと心臓が高鳴った。
同じように感じたのかぽぽっとさっきより顔を赤くした白波が可愛すぎて、気付いたときには自然と腕が伸びていた。