ノンシュガー・ノンビター【VD中編】
地面に投げ出してあった鞄を拾い上げ、そっとチョコをしまう。
同じように鞄を肩に掛けた白波の手をぎこちなく取り、そっと指を絡めた。
緊張から手汗がぶわっと吹き出したが、白波は何も言わず握り返してくれた。
夕日が空に溶け出し、辺りはオレンジから藍色の光に包まれる。
恥ずかしくなってお互い顔を合わせられずにいると、思い出したように白波が声を上げた。
「あれ、そういえば咲々乃くんなんで上靴なの?」
「…誰かさんを追いかけるのに必死でさ」
「えっ?」
「そ、それより……い、いつから俺のこと好きだったんだ…?」
「んー…意地悪な咲々乃くんには教えてあげない」
「はっ、え!?ちょっ、」
「ふふふ、また今度ね?」
「……白波も結構意地悪だろ、なぁ、」
「そういうことにしとくー」
「…んだよそれ、ったく…」
赤い顔を見合わせて、どちらからともなく笑い出した。
しっかりと手は、繋いだまま―――。
...fin.