ノンシュガー・ノンビター【VD中編】
「……あ、」
前方をけだるそうに、でも少しふわふわと浮かれたように歩く男を見つけてあたしは立ち止まった。
…人のこと置き去りにして帰るくらいだから、相当上手くいったんでしょうね。
だーいすきな白波さんと。
全然気付かなかったわよ…そういえばやたら積極的に雑用をしてたような…?
つまりあの頃から好きだったわけね…。
まぁでも成功したなら許して―――あげるわけないでしょ、このバカ!!!
「咲々乃ッ!!!!」
ばっこーん!
「ってぇえええ!!!っにすんだ……って夏村かよ…!痛いだろうが!後頭部を鞄で殴る奴があるか!」
「あんた昨日あたしのこと忘れて帰ったでしょ!」
「……わ、忘れてねーよ!俺が迎えに行ったらそれこそおかしいだろ」
「言い訳しない!!お陰であたしは平坂とふたりで帰ったんだからねっ!」
「へぇ?そりゃ良かったじゃん」