ノンシュガー・ノンビター【VD中編】
「なーにーがーいーいーのーよー!振られたのに一緒に肩並べて帰るとか拷問じゃない!」
「………は?振られた?」
歩きながら話していた咲々乃が急に立ち止まって、じっとあたしの顔を見つめた。
瞳の奥を探るようなまっすぐな視線がむず痒くて思わず顔を背ける。
「わかってたけどね!あたしなんて咲々乃がいなきゃ友達でもないんだし」
「それはねーだろ。あいつはそういう奴じゃない」
「……なにそれ、」
「お前だってそう思ってるだろ?」
「…そりゃ、平坂があたしのこと友達だって思ってくれてたら嬉しいけど…」
「思ってるよ。あいつは好きでもない女と情けで一緒に帰ったりしないし」
「そ、それは咲々乃の幼馴染みだからっ…」
「夏村」
がらっと雰囲気を変えて真面目な顔つきになった咲々乃が、なんだか直視できなかった。